
ひなこ
「石に展」と書いて何と読む?答えは『碾(てん/ひく・うす)』。石臼で穀物や茶葉をひく・すりつぶすという意味をもつ、やや難読の漢字です。
たとえば抹茶の原料「碾茶(てんちゃ)」や「碾臼(ひきうす)」「碾米(ひきごめ)」など、食・農具・歴史文化と結びついた言葉に今も使われています。
この記事では以下を網羅的に解説します。
- 読み方(音訓・部首・総画数)と誤読注意点
- 意味・英訳(grind/mill)
- 日常・ビジネスでの例文
- 成り立ち(石+展の形声)
- 歴史文化(碾茶と抹茶の関係)
- 熟語・名前の可否(人名用漢字)
- FAQ(碾と挽の違いなど)
「碾」の読み方(基礎データ・誤読注意)

基本データ
項目 | データ |
---|---|
漢字 | 碾 |
部首 | 石(いしへん) |
画数 | 15画 |
音読み | テン(まれにデン) |
訓読み | うす/ひ(く) |
人名読み | 未収録(原則、名付け不可) |
誤読に注意
- ×「のべ」:右側は「展(テン)」、拡げる意の別字。
- ×「研・砕」:動作は似るが、碾は「石臼で粉砕」に特化。
- 「輾(車へん)」との混同も要注意。
意味と英訳(使い分け・英訳のコツ)
意味
- 石臼(うす)
- ひく・粉にする
- すりつぶす
英訳
- to grind, to mill, to pulverize
- millstone, grinding stone, quern
例文(日常/ビジネス)
日常会話での例

- 石臼で茶葉を碾(ひ)いて抹茶を点てる。
- 祖母は碾き臼で大豆をひいてきな粉を作っていた。
ビジネス・公的文書での例
- 新設備で碾砕工程の処理効率が20%向上した。
- 水車で臼を回す碾磑(てんがい)が史料に記録される。
成り立ち(石+展=形声)

「石」に「展」を組み合わせた形声文字。
「展」には「回転する・ひろげる」の意味があり、「石でひき回して砕く」動作を表現しています。
歴史と文化(碾茶→抹茶/文献・慣用)
中国語圏での使用
中国語「碾(niǎn)」=石臼でひく/押し砕く。派生に「碾米」「水碾」など。
日本文化における碾
鎌倉初期、栄西が宋から碾茶(てんちゃ)を伝え、これが抹茶文化の原点に。
文学作品での例
「碾石のごとく」=ひき臼を比喩にした表現が文献に登場。
慣用句・方言
「御茶を碾(ひ)く」=客がなく暇をしている様子。
名前・熟語(人名の可否/主要熟語)
苗字
一般的な苗字にはほぼ使われない稀字。
人名(下の名前)
人名用漢字に未収録 → 原則、名付け不可。戸籍登録はできません。
熟語例
- 碾茶(てんちゃ):抹茶前段階の茶葉
- 碾臼(ひきうす):石臼
- 碾磑(てんがい):水車で動く臼
- 碾米(ひきごめ):臼で米をひくこと/その米
FAQ
- Q「碾」と「挽」の違いは?
- A
碾=面で押し砕く/粉にする。挽=こする・削る動作も含む。
- Q「碾茶」と「甜茶」の違いは?
- A
碾茶=抹茶用茶葉。甜茶=甘味のある別種の茶。
- QPC入力は?
- A
「てん」「ひく」「うす」で変換可。Unicode:U+78BE。
まとめ
- 読み方:テン/うす/ひ(く)、15画・石へん。
- 意味:石臼・ひく。英訳はgrind, mill。
- 成り立ち:石+展の形声。
- 文化:碾茶が抹茶文化の起源。
- 熟語:碾臼・碾米・碾磑など。
- 人名:公的には名付け不可。
✅ 本記事は「碾」の読み方・意味・使い方を網羅的に解説しました。
難読漢字ですが、抹茶や臼の文化に直結する重要な字。理解すれば、日本語や中国語の古典、茶文化への理解も一段深まります。