
ひなこ
「畏(い)」という漢字を正しく読めますか?
日常であまり目にしない字ですが
「恐」との違いを理解せずに誤用してしまう人が多い漢字でもあります。
この記事では、
- 「畏」の正しい読み方と注意点
- 「恐」との違いや意味のニュアンス
- ビジネスや日常での使い方・例文
- 成り立ちや歴史的背景
- 名前・熟語での活用例
を徹底解説します。最後まで読むことで、「畏」を正しく理解し、品格ある文章表現に活かせるようになります。
「畏」の正しい読み方と間違えやすいポイント

基本データ(読み・部首・画数・人名可否)
項目 | データ |
---|---|
漢字 | 畏 |
部首 | 田(たへん) |
画数 | 9画 |
音読み | イ |
訓読み | おそ(れる)、かしこ(まる) |
人名読み | 可(名前にも使える) |
「恐」との混同に注意!読み間違い事例
「畏」は「恐」とよく混同されますが、意味のニュアンスが異なります。
- 畏:尊敬や畏敬を伴うおそれ
- 恐:恐怖や不安を表すおそれ
例:
- 「畏敬の念を抱く」→尊敬を込めて敬う気持ち
- 「恐怖を感じる」→危険や不安に震える気持ち
「畏」の意味と使い方|恐れとの違いは?
「畏れる」と「恐れる」の違い
- 畏れる:神仏や偉大な人物に対して「尊敬+おそれ」を抱く
- 恐れる:危険や失敗など「不安・恐怖」を感じる
例文:
- 神を畏れる(=尊敬と畏敬の意味)
- 試験の失敗を恐れる(=不安や恐怖の意味)
英語ではどう表現する?
文脈により英語訳も変わります。
- awe(畏敬・畏怖)
- reverence(深い敬意)
- fear(恐怖心を伴うおそれ)
「畏」を使った例文集|日常・ビジネスの実用表現
日常会話での例
- 「その先生の知識の深さには畏敬の念を抱きます。」
- 「祖父の生き方を畏れつつ、尊敬しています。」
ビジネス文書・メールでの例
- 「このたびのご厚情に対し、深く畏みて御礼申し上げます。」
- 「先輩のご指導には畏敬の念を禁じ得ません。」
「畏(田の下に衣)」の成り立ちと語源

「畏」という漢字は、古代中国で神の前で衣を整え、身を慎む姿を象形化したものとされます。
つまり「上位の存在に対して、かしこまる・畏れる」という態度を表す字です。
「畏」の歴史と文化的背景
『論語』に見る「後生可畏」
孔子の言葉「後生畏るべし(こうせいおそるべし)」は有名です。
意味は「若い世代には大きな可能性があり、軽視すべきではない」という教え。ここでも「畏」は尊敬を伴うおそれを示しています。
日本文化での「畏」──神道・手紙の「かしこ」
神道では「畏み畏み(かしこみかしこみ)」という言葉が祝詞に登場します。
また、手紙の結びに女性が書く「かしこ」も、この「畏」に由来しています。
古典文学での用例
『源氏物語』『枕草子』などの古典でも「畏み」が登場し、敬意を表す表現として使われました。
「畏」が入った名前・熟語一覧
苗字・名前の例
- 苗字例:畏田(いだ)
- 名前例:「畏(い)」一文字名や「畏人(いひと)」など
熟語や四字熟語
- 畏敬(いけい):尊敬の気持ちを込めたおそれ
- 畏怖(いふ):畏れかしこむこと
- 畏縮(いしゅく):気後れして小さくなること
- 後生可畏(こうせいおそるべし):若者を軽視できない意
FAQ:「畏」に関するよくある質問
- Q「畏」は人名に使えますか?
- A
はい。人名用漢字に指定されており、名前や苗字に使えます。
- Q「畏」と「恐」の違いは?
- A
「畏」は尊敬を含んだおそれ、「恐」は恐怖や不安のおそれを指します。
- Qビジネス文書で使っても大丈夫?
- A
使えますが、文章が硬くなるため、フォーマルな場面に限定するのが無難です。
まとめ|「畏」を正しく理解して使い分けよう
「畏(い)」は、単なる恐怖ではなく、尊敬や敬意を込めたおそれを表す漢字です。
古典・神道から現代ビジネスまで幅広く使われる言葉であり、正しく理解して使うことで文章に格調を与えられます。
「恐」との違いを踏まえ、場面に応じて適切に使い分けましょう。